医療機器を日本で流通させようとするとき、手続きはクラス分類によって三段階に分かれます。同じ「医療機器の取り扱い」という言葉でも、必要な手続きが許可・届出・不要のどれになるかで、準備期間も組める相手もまったく変わります。
三つに分かれる販売業の手続き
| 区分 | クラス | 販売・貸与に必要な手続き |
|---|---|---|
| 高度管理医療機器 | クラスⅢ・Ⅳ | 許可(薬機法第39条) |
| 管理医療機器 | クラスⅡ | 届出(同法第39条の3) |
| 一般医療機器 | クラスⅠ | 手続き不要 |
加えて、クラスⅡであっても特定保守管理医療機器に該当するものは、届出ではなく許可が必要になります。保守点検を行わなければ疾病の診断・治療・予防に影響が出る、あるいは人の生命に危険を及ぼすおそれのある機器が該当します。
クラスだけを見て「クラスⅡだから届出で足りる」と判断すると、特定保守管理医療機器の該当性を見落とします。
許可と届出は、手続きの重さが違う
言葉としては似ていますが、実務上の負担は同じではありません。
許可は、審査を経て与えられるものです。営業所ごとに取得する必要があり、営業所管理者を置かなければなりません。管理者には所定の基礎講習の修了など、要件が課されます。有効期間があり、更新も必要です。
届出は、要件を満たしたうえで提出する手続きです。こちらも営業所管理者が必要ですが、許可のような審査と有効期間の管理は生じません。
この差は、取引相手を選ぶときに意味を持ちます。クラスⅢ・Ⅳの製品を扱えるのは、許可を取得済みの事業者だけです。これから取得する場合、審査と体制整備の期間が商談のスケジュールに乗ってきます。
「医療機器を扱った実績があります」では判断できない
クラスⅠの一般医療機器は、販売業としての手続きが不要です。つまり何の許可も届出もなく取り扱うことができます。ガーゼ、絆創膏、一部の医療用手袋などが該当します。
したがって「医療機器の流通実績がある」という説明は、その事業者がクラスⅢ・Ⅳを扱えることを意味しません。確認すべきは実績ではなく、高度管理医療機器等販売業・貸与業許可証の有無です。
市場に出す側の手続きは、また別にある
ここまでは流通させる側の話です。製品を日本市場に出すには、別の手続きが必要になります。こちらもクラスによって分かれます。
- 承認 … 高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ)および基準のないクラスⅡ
- 認証 … 認証基準のある管理医療機器(指定管理医療機器、クラスⅡ)。登録認証機関が行います
- 届出 … 一般医療機器(クラスⅠ)
そして、この承認・認証・届出を行う主体は製造販売業者です。海外法人は日本の製造販売業許可を自ら取得できないため、国内の事業者を選任する必要があります。
整理すると、海外の医療機器を日本で販売するには、少なくとも次の三層が揃っていなければなりません。
- 市場に出す責任者(製造販売業者)——承認・認証・届出の主体
- 製造所の登録——海外の製造所も対象です
- 流通させる事業者——クラスに応じた販売業の許可または届出
順序として
最初に決めるべきは、その製品が日本でどのクラスに分類されるかです。輸出元の国での分類がそのまま適用されるわけではありません。同じ製品が、国によって異なるクラスに置かれることは珍しくありません。
クラスが決まれば、必要な手続きと、組むべき相手の条件が自動的に決まります。逆に、クラスが確定しないまま商談を進めると、条件を詰めた後で前提が変わることになります。
当社は高度管理医療機器等販売業・貸与業許可(大阪市長 第21N00270号)を保有し、クラスⅢ・Ⅳを含む医療機器の流通に対応できます。クラス分類の見極めからご相談を承っています。