取引を始める前に、相手の許可証の写しを受け取る。医薬品や医療機器を扱う商談では当然の手順ですが、受け取った後に何を見るかまでは共有されていないことがあります。許可証は一枚の紙ですが、そこに書かれた項目はいずれも取引の可否に直結します。

1. 許可の種類——同じ「医薬品」でも制度が違う

表題を確認します。医薬品卸売販売業許可証医薬品店舗販売業許可証は別の許可です。前者は薬局・病院・他の事業者へ販売できる許可、後者は一般の消費者へ販売するための許可です。

自社の製品を医療機関に納めたいのであれば、相手が持つべきは卸売販売業の許可です。店舗販売業の許可証を見て「医薬品の許可がある」と判断すると、想定した販路には届きません。

2. 取扱品目——ここで扱える商品が決まる

許可証の下部に取扱品目が記載されています。実務上、最も見落とされやすい項目です。

記載意味
全ての医療用医薬品、要指導医薬品及び一般用医薬品処方箋医薬品を含む全範囲
全ての要指導医薬品及び一般用医薬品医療用医薬品は含まない
第一類医薬品を除く取扱範囲に制限あり

「医薬品の許可を持っている」という説明だけでは、医療用医薬品を扱えるかどうかは分かりません。判断できるのは取扱品目の欄だけです。

3. 有効期間——許可は更新制です

医薬品の販売業許可は6年ごとの更新です。許可証には「令和○年○月○日から令和○年○月○日まで」と明記されています。

数年にわたる取引を想定するなら、期間の残りを確認しておく価値があります。更新は通常の手続きですが、更新されなければその番号は無効な番号になります。長期契約の途中で満了日を迎える場合、更新予定の確認までしておくと後の齟齬を避けられます。

4. 発行者——都道府県知事か、市長か

許可の種類によって発行者が変わります。卸売販売業は都道府県知事、店舗販売業や高度管理医療機器の販売業は保健所設置市の市長が発行する場合があります。

発行者が異なること自体は問題ではありません。確認すべきは、許可証に記載された所在地が、実際に取引する営業所と一致しているかです。医薬品の販売業許可は営業所ごとに与えられます。本社が許可を持っていても、別の拠点から出荷するのであれば、その拠点の許可が必要です。

医療機器は、また別の許可証になる

医療機器を扱う場合、医薬品の許可証とは別の証書を確認します。クラス分類によって必要な手続きが変わるためです。

  • 高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ)および特定保守管理医療機器 … 販売業・貸与業の許可が必要
  • 管理医療機器(クラスⅡ) … 販売業・貸与業の届出が必要
  • 一般医療機器(クラスⅠ) … 販売業としての手続きは不要

「医療機器を扱っている」という実績があっても、それがクラスⅠの製品であれば、高度管理医療機器を扱う資格があることにはなりません。許可と届出は別の重さの手続きです。

確認のための質問

許可証を受け取ったら、次の点が明確になっているかを見てください。曖昧な場合は、書面で確認しておくに越したことはありません。

  1. 許可の種類は、想定している販売先に対応しているか
  2. 取扱品目に、扱いたい製品の区分が含まれているか
  3. 有効期間は取引期間をカバーしているか
  4. 記載の所在地は、実際に出荷を行う営業所か
  5. 医療機器を含むなら、クラスに対応した許可・届出があるか

これは相手を疑う作業ではありません。どちらの側にとっても、後から「その取引はできなかった」と判明することが最も損失の大きい結末だからです。取引開始前の数分で済む確認です。

当社は医薬品卸売販売業許可(大阪府知事 第B14657号)、高度管理医療機器等販売業・貸与業許可(大阪市長 第21N00270号)、医薬品店舗販売業許可(大阪市長 第21V00061号)を保有しています。許可証の写しはご要望に応じてお送りいたします。