韓国や欧米で「機能性化粧品」「薬用」として売られている製品を、日本でもそのまま同じ位置づけで売りたい——この相談は非常に多く寄せられます。ただし日本では、「薬用」と表示できる製品は化粧品ではありません。医薬部外品という別の区分になり、必要な手続きが大きく変わります。

化粧品と医薬部外品を分ける線

両者はいずれも薬機法上の区分ですが、制度の設計が異なります。

化粧品医薬部外品
市場に出すための手続き品目の届出品目ごとの承認
有効成分の考え方効能を目的とした配合はできない有効成分の効果が前提
「薬用」表示不可
全成分表示義務義務ではない(表示指定成分等を除く)

最大の違いは届出と承認です。化粧品は所定の届出を行えば製造販売できますが、医薬部外品は品目ごとに審査を受けて承認を得る必要があります。審査には有効成分の根拠資料が必要で、期間も費用も別のものになります。

どちらになるかは、成分と表示の両方で決まる

ここが判断の難しいところです。成分だけでも、表示だけでも決まりません。

有効成分として認められている成分を、その効果を目的として配合し、その効果をうたう。この三つが揃ったとき、その製品は医薬部外品として扱われます。逆に、同じ成分が入っていても、効果をうたわず、配合目的も別であれば化粧品にとどまることがあります。

「韓国では機能性化粧品として登録されている」——この事実は、日本での区分判断には使えません。制度そのものが対応していないためです。

原産国のパッケージや販促資料をそのまま日本語に置き換えると、意図せず医薬部外品の領域に入る表現が混ざることがあります。翻訳の段階ではなく、区分を決める段階で表現の線引きをしておく必要があります。

承認申請は、誰が行うのか

医薬部外品の承認を申請する主体は製造販売業者です。そして海外法人は、日本の製造販売業許可を自ら取得することができません。

したがって海外メーカーの選択肢は、実質的に次のいずれかになります。

  • 日本の製造販売業者に承認取得を委ね、その事業者の製品として流通させる
  • 外国特例承認の制度を用い、選任製造販売業者を立てて自社が承認取得者になる
  • 区分を化粧品の範囲に収め、表示と処方を日本向けに調整する

三つ目は後退のように見えますが、実務では有力な選択肢です。医薬部外品の承認には相応の期間と資料が必要であり、初期の市場反応を見る段階でそこまで投資する判断が常に正しいとは限りません。まず化粧品として入り、市場が見えてから医薬部外品を検討する——この順序を取る例は少なくありません。

製造所の要件も変わる

もう一点、見落とされやすい要件があります。日本へ輸出される医薬部外品を製造する海外の製造所は、医薬品等外国製造業者の認定(薬機法第13条の3)を受けている必要があります。この認定は、承認を受けるための前提条件です。

製造所がまだ認定を受けていない場合、認定の取得が承認申請より前の工程として加わります。ここを織り込まずにスケジュールを組むと、発売時期の見通しが大きくずれます。

検討の順序

  1. 全成分を原文で取得する(要約や英訳ではなく、配合目的まで分かるもの)
  2. 日本でうたいたい表現を先に書き出し、化粧品の範囲に収まるかを確認する
  3. 収まらない場合、医薬部外品として進めるか、表現と処方を調整するかを決める
  4. 医薬部外品を選ぶなら、承認申請の主体と製造所の認定状況を確認する
  5. そのうえで、流通を担う事業者を決める

この判断は、パッケージの制作や販促資料の準備よりに行う必要があります。区分が変われば、表示すべき項目も、使える表現も変わるためです。

当社は化粧品・医薬部外品を含む輸入流通を手がけています。区分の見極めと、そこから決まる表示・許可の組み合わせについてご相談を承っています。