海外の処方をそのまま日本に持ち込めるかを調べるとき、多くの場合は配合禁止成分の一覧と成分表を突き合わせます。禁止成分が入っていなければ大丈夫、という確認の仕方です。

これは半分しか当たりません。日本の化粧品基準には、禁止リストで規制される成分と、許可リストで規制される成分の二種類があるからです。後者は「禁止リストに載っていない」ことを確認しても意味がありません。載っていて初めて使えます。

根拠になっている告示

化粧品の成分規制は、化粧品基準(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)が定めています。薬事法第42条第2項に基づく告示で、平成13年4月1日から適用されています。このときに旧来の化粧品品質基準・化粧品原料基準は廃止され、基準に違反しない成分は企業の責任で安全性を確認して配合するという形に変わりました。

一つひとつ国の承認を取るのではなく、基準の枠内かどうかを自社で判断する制度です。判断の責任が事業者側にある以上、枠の形を正確に知っておく必要があります。

二つの方式が同居している

告示の2から4が、それぞれ別の方式をとっています。

① 防腐剤・紫外線吸収剤・タール色素「以外」の成分 — 禁止リスト方式

告示2は、医薬品の成分、生物由来原料基準に適合しない物、化学物質審査規制法の第一種・第二種特定化学物質、そして別表第1に掲げる物を配合してはならないと定めています。さらに告示3で、別表第2に掲げる成分は100g中の最大配合量の範囲内に限られます。

この範囲では「リストに無ければ使える」という読み方が成立します。

② 防腐剤・紫外線吸収剤 — 許可リスト方式

告示4は、方向が逆です。

化粧品に配合される防腐剤(化粧品中の微生物の発育を抑制することを目的として化粧品に配合される物をいう。)は、別表第3に掲げる物でなければならない。

紫外線吸収剤も同じ形で、別表第4に掲げる物でなければならないと定められています。掲げられていないものは使えません。禁止リストを何度見ても、この制限は見えません。

③ タール色素 — 別の省令を準用

タール色素については、医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(昭和41年厚生省令第30号)第3条の規定を準用します。ただし赤色219号と黄色204号は、毛髪及び爪のみに使用される化粧品に限り配合できるという例外があります。

どこで止まりやすいか

海外で一般的に使われている防腐剤が、日本の別表第3に無い、という形が最も多い止まり方です。処方全体に問題が無くても、防腐剤ひとつで処方変更か、その製品の見送りかの判断になります。

同じことが紫外線吸収剤にも起きます。日焼け止めや、UVカットをうたうベース製品では、この一点で製品ごと対象外になることがあります。

色については、同じ色名でも日本で使える号数かどうかが別問題です。さらに上記二つの色のように、使える部位が限定されているものもあります。

不純物まで見ている条文がある

告示5は、グリセリンについて100g中のジエチレングリコールが0.1g以下でなければならないと定めています。配合する成分そのものではなく、その中に含まれる不純物の量を規制している条文です。

告示1の総則も、原料は「それに含有される不純物等も含め」保健衛生上の危険を生じるおそれがある物であってはならないとしています。成分名の一覧だけでは確認が終わらない、という設計になっています。

確認の順番

実務上は、次の順で見ると手戻りが減ります。

  • 防腐剤 — 別表第3にあるか(無ければ処方変更の検討から)
  • 紫外線吸収剤 — 別表第4にあるか
  • 色素 — 日本で使える号数か。部位の限定が付いていないか
  • その他の成分 — 別表第1に無いか、別表第2の上限内か
  • 原料規格 — 不純物の規定に触れないか

順番が重要なのは、最初の二つだけが「処方そのものを変える」判断につながるからです。ラベルや表示の調整で吸収できる論点と、処方を作り直す論点を、最初に分けておくためです。

新しい成分を使いたい場合

別表に無い防腐剤や紫外線吸収剤をどうしても使いたい場合、告示の改正を求める手続きがあります。安全性に関する資料を添えて厚生労働大臣に要請書を提出する仕組みで、手続きは通知(医薬審発第325号、平成13年3月)に示されています。実際、平成18年の告示第371号による改正では、配合禁止成分の追加と配合可能な防腐剤の追加が行われています。

リストは固定ではありません。ただし製品の発売スケジュールに間に合う速度のものではない、という前提で考える必要があります。

参考にした一次情報

※ 本記事は制度の概要です。個別の可否は所管当局の判断によります。

当社は化粧品・医薬部外品の輸入と卸売を手がけ、処方と表示の両面から日本での取り扱い可否を確認しています。成分段階での可否判断からのご相談も承っています。