第17回 国際物流総合展 2026(LTT2026)出展社シリーズ 第10回

倉庫の自動化を検討するとき、話はたいてい機械の性能から始まります。何台で、何秒で、何個さばけるか。

ところが、入れた瞬間に先に変わるのは機械ではありません。建物の区分です。

まず、消防法が引いている線

消防法施行令 第12条第1項第5号は、スプリンクラー設備を設けるべき対象のひとつとして、こう書いています。

別表第一(十四)項に掲げる防火対象物——つまり倉庫——のうち、天井の高さが十メートルを超え、かつ、延べ面積が七百平方メートル以上のラック式倉庫。条文は、天井のない場合は屋根の下面で測るとしています。

そして同じ条文が、ラック式倉庫をこう定義しています。

「棚又はこれに類するものを設け、昇降機により収納物の搬送を行う装置を備えた倉庫をいう。」

読み方が二つに割れるところです。高い棚があることだけでは足りません。棚に加えて、昇降機で収納物を運ぶ装置がある。この二つが揃ったときに、その建物はラック式倉庫になります。

言い換えると——棚を高くしただけの倉庫と、同じ棚に昇降する搬送装置を入れた倉庫は、消防法では別の建物です。中身も面積も変わっていなくても、です。

LTT2026の倉庫自動化 — 三つの解き方

解き方人から外すもの出展の軸
① 高さで解く探す・取り出す保管密度
② 運ぶを床から外す歩いて運ぶ無人走行とレイアウト変更
③ 持ち上げる・積むを外す手と腰重量物と協働

① 高さで解く——自動倉庫・シャトルの出展では、パレット単位とケース単位の両方が示されており、保管密度を正面に置く出展が目立ちました。床面積を増やさずに収納量を上げる、という設定です。WMSとの連携を併記する例も多くありました。

② 運ぶを床から外す——AMR・AGVの出展では、内容に最も多く出てくる語が「搬送」で、次が「無人」と「走行」でした。固定設備と違い、レイアウトの変更に合わせて動かせることを前に出す出展が並びます。安全に関する記述——障害物の検知、停止——も同じくらい繰り返されていました。

③ 持ち上げる・積むを外す——ピッキング・パレタイジング・デパレタイジングのロボットでは、パレタイズとデパレが軸で、重量物と協働(人と同じ空間で動く)が繰り返し出てきます。箱の大きさや積み方が一定でない荷を扱うために、画像とAIを併記する例が多くありました。

このほか、ソーター・コンベヤ、垂直搬送機、無人フォークリフト、アシスト機器なども出展されています。本稿では、出展のまとまりが小さい区分の内容には踏み込みません。

三つのうち、建物の区分を動かすのはどれか

先ほどの定義に戻ります。棚+昇降機による搬送装置。

②は床を走ります。③は手の代わりをします。どちらも、それだけでは棚の中を昇降しません。①は、まさに棚の中で昇降させる方式です。

ただし、これはカテゴリ名で決まる話ではありません。条文が見ているのは製品の分類ではなく、その倉庫に棚と昇降搬送装置が備わっているかです。棚の中に入り込んで上下する形式の搬送機を入れれば、それがAMRと呼ばれていても同じ線に触れます。見るべきは製品名ではなく、棚の中で荷が昇降するかどうかです。

ラック式倉庫になると、何が変わるか

消防法施行規則 第13条の5が、そこから先を決めています。

まずヘッドの種別が限定されます。ラック式倉庫に設けるのは、閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッド(有効散水半径2.3、ヘッドの呼び20のものに限る)です。

次に、天井だけでは足りません。棚を設けた部分には、各部分から一のヘッドまでの水平距離2.5メートル以下となるように設け、さらに等級に応じた高さごとに一個以上設けることになっています。棚以外の部分は天井に水平距離2.1メートル以下です。

そして水平遮へい板——棚の内部を水平方向に遮へいする板——を、難燃材料で、等級に応じた高さごとに設けます。

等級棚の中のヘッド水平遮へい板
Ⅰ4メートルにつき1個以上4メートル以内ごと
Ⅱ・Ⅲ4メートルにつき1個以上8メートル以内ごと
Ⅳ6メートルにつき1個以上12メートル以内ごと

つまり、棚は収納するためのものであると同時に、消火設備が入る構造物になります。何段で組むか、どこで仕切るかが、消防設備の設計と同じ図面の上の話になるということです。

そして等級は「何を置くか」で決まります

ここが、機械の仕様からは出てこないところです。

施行規則は、ラック式倉庫を収納物と、収納容器・梱包材等の種類に応じて等級Ⅰから等級Ⅳに区分しています。基準になるのは、危険物の規制に関する政令 別表第四に定める数量の何倍にあたるか——指定可燃物で千倍(高熱量溶融性物品は三百倍)以上、あるいは百倍(同三十倍)以上、容器・梱包材では十倍以上、といった段です。

同じ棚、同じ高さ、同じ搬送装置でも、置くものが変われば等級が変わり、ヘッドの間隔と遮へい板の間隔が変わります。自動化の検討が機械の選定で終わらないのは、ここです。

そして品目によって何倍にあたるかは、商品そのものだけでなく容器と梱包材でも決まります。中身が同じでも、容器が変われば段が変わり得る、ということです。ここは「入ります」と言う前に、確かめるところです。

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参考にした一次情報

本稿のうち出展に関する記述は、主催者が公表した出展内容および各社公式サイトの公開情報に基づき、傾向を整理したものです。個別の製品名・企業名は挙げておらず、優劣の比較や評価も行っていません。公表内容は2026年8月時点のものです。法令の適用区分および必要な設備は建物の条件・収納物によって異なり、個別の適用可否は所管当局の判断によります。