第17回 国際物流総合展 2026(LTT2026)出展者シリーズ 第15回

コンベヤが止まる。原因がベルトの一枚なのか、ローラの中のモータなのか、電源の一台なのかは、見つかるまで分かりません。その間、荷物は手で運びます。

今回はその部品を置き換える出展です。ただ、置き換えたあとに残るものがあります。その部品が何に触れるか、です。

LTT2026 の部品・駆動関連の出展 — 四つの置き換え

置き換えるもの現場がやめること出展の軸
① 回して減速する既製の搬送機に合わせるモータ・減速機・駆動ユニット
② 伝えて運ぶベルトの寄りを手で直す搬送ベルト・駆動ベルト・ローラ
③ 押して持ち上げて支える人が持ち上げる・押して回す電動シリンダー・機構部品
④ 電気と電波を渡す配線を引き直す・充電で止める電源・非接触給電・産業ネットワーク

① 回して減速する — モータと減速機、そして両者を一体にした駆動ユニットです。ローラの中にモータを収めた形、ロボットの関節に使う形、サーボモータとドライブを組で出す形がありました。前面に出ていた言葉は 「停止精度」「低騒音」「長寿命」「メンテナンスフリー」。無人搬送車を自分の現場に合わせて内製したい、という需要を正面から受ける案内も複数ありました。

② 伝えて運ぶ — ベルトとローラです。搬送用のベルト、駆動用のベルト、カーブで使うもの、蛇行を防ぐもの。そしてベルトを留める工具やメンテナンス用品まで揃っていました。消耗品として毎年買い替えるものなので、ここは性能より調達の話になりやすい領域です。

③ 押して持ち上げて支える — 電動シリンダー、単軸のロボット、昇降軸、そして機構部品です。協働ロボットに後付けする昇降軸、重量物用のキャスター。自動設備が増えても手押し台車は残るという前提に立った出展もありました。

④ 電気と電波を渡す — 電源と通信です。制御盤に収める電源、粉じんと水のかかる場所に置ける電源、そして非接触の給電。走行したまま充電する形まで出ていました。無線の安定性と、通信が切れても止まらない冗長化を軸にした出展もありました。

四つに共通するもの

四つとも完成品ではありません。どれもほかの機械の中に入って初めて働きます。だから説明の中心が「何ができるか」ではなく「どこに組み込めるか」になります。

減るのは止まる時間と、人が力を出す場面です。減らないのは、その機械が何を運んでいるかという方です。そして運んでいるものによって、同じ部品の法律上の立場が変わります。

食品に直接触れる部品は、部品ではなく「器具」になります

食品衛生法第4条第4項が器具を定義しています。「飲食器、割ぽう具その他食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受又は摂取の用に供され、かつ、食品又は添加物に直接接触する機械、器具その他の物」です。

運搬の用に供され、食品に直接接触する機械 — 搬送ベルトやローラは、ここに入り得ます。部品票の上では部品ですが、食品に触れた時点で法律の側では器具として扱われます。

そうなると第18条第2項が効きます。規格が定められたとき、「その規格に合わない器具若しくは容器包装を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、若しくは営業上使用し、その規格に合わない原材料を使用し、又はその基準に合わない方法により器具若しくは容器包装を製造してはならない」と定めています。禁止が向いている先は売る側だけではありません。営業上使用することが、同じ文に並んでいます。

材質の側にも条文があります。第18条第3項は、政令で定める材質の原材料について、含有や溶出が許容される量が「第一項の規格に定められていないものは、使用してはならない」としています。第16条は、食品に接触して有害な影響を与えるおそれがある器具を「販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、又は営業上使用してはならない」と定めています。

医薬品・化粧品では、禁止のかかる先が設備から中身に移ります

同じベルトを医薬品のラインに使うと、適用される条文が入れ替わります。食品衛生法第4条第1項の但し書きが、食品から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品」を除いているためです。器具の規格は、そこまでは伸びません。

代わりに禁止が中身にかかります。薬機法第56条は、該当する医薬品を「販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で製造し、輸入し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない」と定め、その第7号に「異物が混入し、又は付着している医薬品」を挙げています。第6号は「その全部又は一部が不潔な物質又は変質若しくは変敗した物質から成つている医薬品」です。化粧品も同じで、第62条が「化粧品については、第五十一条、第五十二条第二項及び第五十三条から第五十七条までの規定を準用する」と定めています。

違いが実務の形になって出ます。食品側で起きるのはその設備が使えなくなることです。医薬品・化粧品側で起きるのはその荷物が売れないものになることです。摩耗粉や潤滑剤が触れたとき、止まるのはラインではなく在庫です。

電気と電波を扱う部品は、使う側・設置する側に手続が来ます

電源にも条文があります。電気用品安全法第27条は「電気用品の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、第十条第一項の表示が付されているものでなければ、電気用品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない」と定めています。ここは売る側の話です。

ただ、第28条第2項は向きが違います。「電気用品を部品又は附属品として使用して製造する物品であつて、政令で定めるものの製造の事業を行う者は、第十条第一項の表示が付されているものでなければ、電気用品をその製造に使用してはならない」。同条第1項は、電気工作物の設置又は変更の工事に使う場合を同じ向きで定めています。表示の確認は、売る側だけの作業として置かれていません。

非接触の給電はさらに別の法律に触れます。電波法第100条第1項は「左に掲げる設備を設置しようとする者は、当該設備につき、総務大臣の許可を受けなければならない」とし、その第2号に「無線設備及び前号の設備以外の設備であつて十キロヘルツ以上の高周波電流を利用するもののうち、総務省令で定めるもの」を挙げています。どの設備が対象になるかは総務省令が定めますが、条文が申請者として置いているのは「設置しようとする者」です。部品を買った側に手続が回ってくる構造です。

だから見るところが二つに分かれます

一つは部品の性能です。トルクと減速比、停止精度、騒音、寿命、保護等級、給電の距離と出力。カタログで並べて比べられる部分で、出展もここを前面に出していました。

もう一つは触れる場所と入る場所です。その部品が食品に直接触れるのか、医薬品や化粧品の開いた工程の近くに入るのか、電気工作物の工事に入るのか、電波を使うのか。これは部品票に書かれていません。決めるのは取り付ける側で、条文が名前を挙げているのも使う側・設置する側です。

前者だけで決めると、性能は上がったのにその設備が使えない、あるいは在庫が売れないものになるという形になり得ます。「同じ仕様でこの価格です」と聞いたあとに、もう一段確かめるところです。どの規定がどう適用されるかは品目と設備の持ち方によって変わり、個別の適用可否は所管当局の判断によります。

問い合わせは弊社がまとめてお受けします

展示会に出ている企業は引き合いを待っています。ただ、一社ずつ当たると、条件の合わない先からも営業の連絡が続きます。部品は仕様の項目が多いので、数が増えるほど比較そのものができなくなります。

弊社は今回の出展内容を全件整理しており、会場では各社に名刺をお渡ししています。何を運ぶラインなのか、食品に直接触れるのか、必要な速度と荷重、置く場所の環境をお教えいただければ、条件の合う先に確認し、回答をまとめてお返しします。ご同意なく御社の連絡先を相手方にお渡しすることはありません。

弊社がお渡しするのは情報です。特定の一社の代理店や販売権者ではなく、同じ課題に対する複数の方式を並べてご紹介します。医薬品・化粧品・食品の輸入と流通を手がける立場から、部品の性能の話と、運んでいるものにかかる条文との兼ね合いも併せてお伝えします。

参照した一次情報

本記事の出展に関する記述は、主催者が公表した出展内容および各社公式サイトの公開情報から傾向を整理したものです。個別の製品名・企業名は挙げておらず、優劣の比較や評価は行っていません。公表内容は2026年8月時点のものです。法令の適用区分や必要な措置は取引の形態・品目・設備の持ち方によって異なり、個別の適用可否は所管当局の判断によります。