第17回 国際物流総合展 2026(LTT2026)出展社シリーズ 第9回
日本の商品を海外へ出したい。そう相談されたとき、話はたいてい「どう運ぶか」から始まります。ところが実際に止まるのは、たいてい別のところです。
その在庫を、誰が持つのか。
本シリーズはここまで、出展された物を扱ってきました。今回はサービスです。そして弊社自身が同じ領域にいるため、これまでの回と違い、弊社を主語にして書きます。
まず、倉庫業法が引いている線
「倉庫を使う」という言葉は、法律上は二つに割れます。倉庫業法第2条第2項は、倉庫業を「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」と定義しています。
国土交通省の地方運輸局が配っている判定資料は、最初にこう問います——「他人の物品を責任を持って保管することに対して対価を得る営業ですか?」
ここに当たるなら、営業倉庫として国土交通大臣の登録が要ります(第3条)。登録の種別は一類・二類・三類・野積・水面・貯蔵槽・危険品・冷蔵・トランクルーム・特別の倉庫に分かれ、たとえば冷蔵倉庫は常時10℃以下を保つことが条件です。置ける物品の種類も種別ごとに決まっています。
一方で、自家倉庫——自分の物を自分で置くこと——は倉庫業に当たりません。同じ建物に同じ荷物を置いていても、それが誰の物かで、必要な登録が変わります。
LTT2026の総合物流の出展 — 四つの引き受け方
| 引き受け方 | 相手から受け取るもの |
|---|---|
| ① 運ぶ手段を持つ | 輸送の区間 |
| ② 越境を一本化する | 購入から現地配送までの工程 |
| ③ 置く場所と庫内作業 | 保管と、手を動かす工程 |
| ④ 品目に寄せる | その品目に固有の手続き |
① 運ぶ手段を持つ——航空、鉄道コンテナ、RORO船、フェリー、海陸複合。トラック運転者の不足を背景に、陸送以外へ寄せる提案が並んでいました。CO2排出量の少なさを前に出す出展も目立ちます。
② 越境を一本化する——購入代行、倉庫での入荷・検品、同梱、海上・航空輸送、通関サポート、現地国内配送まで。工程を切らずに一社で受けるという形です。複数業者に分かれている物流を一本化したい、という課題設定が繰り返し出てきました。
③ 置く場所と庫内作業——保管に加えて、流通加工、EC物流代行、庫内請負。倉庫の種別を前に出す出展もあり、危険物倉庫や温度管理倉庫を専門として掲げる例もありました。
④ 品目に寄せる——ここが一番はっきりしていました。食品輸入では食品等輸入届、食品分析、EPAを使った関税の扱いが具体的な問いとして挙がり、化粧品物流では薬機法対応が保管・流通加工と並べて示されていました。医療機器、化学品、蓄電池を専門に掲げる出展もあります。
四つに共通していたこと
四つとも、相手の荷物を預かって、相手に代わって動かすかたちです。工程は分けられ、組み替えられ、一本化もされます。
しかし荷物の持ち主は、最後まで相手のままです。だから相手は、売れるかどうかを自分で引き受け続けます。
海外の事業者が日本の商品を扱おうとして止まるのは、たいていここです。運び方は解けるのに、最初のロットを誰が買うかが解けない。
弊社は、買います
弊社は商社・流通として、日本の食品・化粧品・医薬品を自社で仕入れて、海外の事業者へ流通させています。先ほどの四つに対する、五つめの形です。
弊社が買うので、在庫は弊社のものになります。そのうえで保管し、検品し、出荷まで手配します。
法律の側から言うと、これは寄託ではありません。自分の物を自分で置いているので、倉庫業には当たりません。運ぶのも自分の荷物なので、他人の荷物を預かって運ぶ事業にも当たりません。弊社は保管サービスも運送サービスも販売していません。売っているのは商品です。
この違いは、相手にとっては一点に集約されます——売れ残りを誰が被るか。預ける形では相手が被り、買う形では弊社が被ります。
品目ごとに、別の法律が立っています
そして「日本の商品」とひとまとめにできないのが、ここです。
| 品目 | 別に立ってくる主な論点 |
|---|---|
| 食品 | 食品等輸入届、表示、EPA の適用可否 |
| 化粧品 | 薬機法。保管・表示をどこで行うかで必要な許可区分が変わる |
| 医薬部外品・医薬品 | 同じく薬機法。品目によって扱いが分かれる |
| 冷蔵(10℃以下) | 温度帯の維持。倉庫業法では冷蔵倉庫の種別にあたる |
展示会でも、食品輸入と化粧品物流が別のサービスとして掲げられていました。一本化を売りにする出展ですら、品目はまとめていません。
どの許可が要るかは、品目と、どこで何をするかの組み合わせで決まります。保管するだけなのか、表示を貼るのか、小分けするのか。同じ商品でも、工程が増えると必要な区分が変わります。ここは「やれます」と言う前に、確かめるところです。
お問い合わせ
日本の商品を扱いたいが、最初のロットを自社で抱えるのが重い——という段階でご相談ください。
「何を、月にどのくらい、どの国へ」をお聞かせいただければ、弊社で仕入れられるか、品目ごとにどの手続きが立つかを整理してお返しします。仕入先の情報は開示しておりませんが、取り扱えるかどうかはお答えできます。
弊社が行っているのは商品の仕入れと流通です。倉庫業・貨物利用運送事業の登録を要するサービスとしての保管や輸送は行っておりません。国際物流フォワーディングは準備中であり、現時点ではご相談の受付までとさせていただいています。
参考にした一次情報
- 国土交通省 — 倉庫業法
- 国土交通省 — 倉庫業 登録申請の手引き
- 国土交通省 中国運輸局 — 倉庫業に当たるかの考え方
本稿のうち出展に関する記述は、主催者が公表した出展内容および各社公式サイトの公開情報に基づき、傾向を整理したものです。個別の製品名・企業名は挙げておらず、優劣の比較や評価も行っていません。公表内容は2026年8月時点のものです。法令の適用区分は取引の形態・品目・工程によって異なり、個別の適用可否は所管当局の判断によります。



