第17回 国際物流総合展 2026(LTT2026)出展社シリーズ 第2回

医薬品や食品を輸入するとき、温度は品質そのものです。日本の医薬品流通ではGDP(Good Distribution Practice)の考え方が広がり、食品ではHACCPに沿った衛生管理が制度化されています。いずれも共通して求められるのが、「適切な温度で運んだ」ことを記録で示せるかという点です。

LTT2026のコールドチェーン・温度管理の出展を通して読むと、アプローチがはっきり三つに分かれていました。設備で解くか、容器で解くか、記録で証明するか。同じ「コールドチェーン」という言葉で括られていても、買い手も導入判断も別です。

三つのアプローチ

アプローチ何で温度を守るか
① 設備で解く倉庫・施設に据え付ける冷凍機
② 容器で解く電源を使わずに温度を維持する箱
③ 記録で証明する温度を測り、記録を残す

① 設備で解く — 自然冷媒への転換

このアプローチの出展は、いずれもCO₂を冷媒とする冷凍システムでした。共通点は偶然ではなく、フロン類の規制強化を受けた業界全体の流れを反映したものです。

訴求点は二つに集まっていました。一つは省エネ性能で、冷凍機とフリーザーを統合制御する、負荷変動に応じて冷却を追従させる、膨張弁制御を最適化するといった方向です。もう一つが冷媒漏れリスクの低減で、部品を共通化して本体構造を単純にし、配管部品点数を減らし、低振動設計とする——いずれも漏れる箇所そのものを減らす設計思想です。

低温帯まで対応する機種は、扱う品目によって選択肢が限られる領域です。対応温度帯の表記は資料によって異なる場合があるため、検討の際は必要な温度帯を具体的に示して確認する必要があります。

② 容器で解く — 共通するのは「電源を使わない」

このアプローチは、いずれも電源に依存しない定温輸送を訴求していました。輸入実務の観点からは、リーファーコンテナや保冷トラックを前提としない選択肢が増えることを意味します。航空輸送を前提にしていた品目が海上に移せるかどうかは、コスト構造そのものが変わる論点です。

設計の方向も分かれていました。既存の物流機器の寸法体系に合わせてすでに動いているラインに差し込めることを重視するもの、真空断熱材などで保持性能を伸ばすもの、繰り返し使用や回収・修繕を前提に運用コストで見るもの。小ロットから仕様を作れるかどうかも、品目ごとに温度帯と形状が変わる分野では実務的な条件です。

ただし、比較するときに注意すべき点があります。公表されるのは保持時間であることが多く、維持される温度帯や、前提となる外気温・初期温度・積載率が示されていない場合があります。定温輸送は「何℃を何時間」が揃って初めて比較できます。数字だけを並べても、条件が違えば比較になりません。

③ 記録で証明する — 比重はここに移っている

三つのアプローチのうち、出展が最も厚かったのがこの領域です。「冷やす」より「冷やせていたことを示す」ほうに比重が移っていることが読み取れます。

構成はおおむね共通しています。センサーで温度を取り、ゲートウェイ経由でクラウドに集約し、監査に出せる形で保存する。現場にネットワーク設備がなくても導入できることを訴求するもの、温度だけでなく位置・湿度・衝撃・傾きまで取るもの、校正と回収の手間を前提から外した使い切り型など、運用負担の置き方で違いが出ていました。

温度ではなく衝撃を主軸に置く出展もありました。「いつ・どこで・どの程度の衝撃が発生したか」を輸送事故の原因分析に用いる位置づけで、同じ記録でも目的が異なります。

輸入する側から見ると

出展の傾向を並べると、この分野で何が課題になっているかが見えてきます。

  • 設備は自然冷媒へ——フロン規制を背景とした転換期にあります
  • 容器は無電源へ——輸送手段の選択肢が広がる方向です
  • 記録に比重——温度を保つことと同じ重さで、保てていた証跡が求められています

医薬品や食品を輸入する立場では、三つ目が実務に直結します。輸送品質は結果として品質が保たれたかだけでなく、保たれていたことを後から示せるかで問われます。取引先や規制当局に対して記録で説明できる体制になっているかは、輸送手段を決める段階で確認しておくべき項目です。

そしてもう一つ。この三つは択一ではありません。設備で冷やす倉庫に入れるのか、無電源の容器で運ぶのか、どちらにしても記録は別途必要になります。先に決めるべきは機器ではなく、「何℃を、何時間、どの区間で守る必要があるのか」という条件のほうです。

問い合わせは、まとめて弊社がお引き受けします

展示会に出ている企業は、引き合いを待っています。ただ、こちらから一社ずつ当たると、条件が合わない先からも営業の連絡が続きます。数が多いほどその負担は大きく、比較検討どころではなくなります。

弊社は本展の出展内容を全件整理しており、会場では各社に名刺をお渡ししています。「何℃を、何時間、どの区間で守る必要があるのか」をお聞かせいただければ、条件に合う先へ弊社から確認し、回答をまとめてお返しします。お客様の連絡先を、ご了解なく先方にお渡しすることはありません。

温度帯が決まっていない段階のご相談でも構いません。医薬品・化粧品・食品の輸入と流通を手がけている立場から、仕様の読み方や確認しておくべき点も併せてご案内します。

本稿は主催者が公表した出展内容および各社公式サイトの公開情報に基づき、傾向を整理したものです。個別の製品名・企業名は挙げておらず、優劣の比較や評価も行っていません。公表内容は2026年8月時点のものです。