第17回 国際物流総合展 2026(LTT2026)出展社シリーズ 第13回

紙を読んで打ち直す工程は、どの現場にもあります。仕入書、納品書、送り状。読む人が変わると止まり、打ち間違えると後で効いてきます。

そこへ機械を入れる話が今回です。ただ、入れても動かないものが一つあります。申告した中身の責任です。

まず、申告するのは誰か

関税法第7条第1項は、こう書いています。

「申告納税方式が適用される貨物を輸入しようとする者は、税関長に対し、当該貨物に係る関税の納付に関する申告をしなければならない。」

申告するのは輸入しようとする者です。読み取りを機械にやらせても、申告の名義は動きません。

では間違えたらどうなるか。関税法第12条の2第1項は、修正申告または更正がされたときに納付すべき税額の百分の十の過少申告加算税を課すと定めています。調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでない修正申告のときは百分の五です。

読み取り精度が99%なら、残りの1%は機械の性能の話です。その1%が申告に乗ったときの扱いは、制度の話になります。

LTT2026のAI・OCR・現場DXの出展 — 三つの外し方

外し方人から外すもの出展の軸
① 紙を読ませる読んで打ち直すOCRと読み取り精度
② 現場から直接入れる戻ってから入力するスマホ・アプリでの報告
③ 読んだ先へつなぐシステム間の手移し基幹・倉庫システムとの連携

① 紙を読ませる——出展内容で「AI」の次に多いのが「OCR」、そして「帳票」でした。仕入書や納品書をスキャンして項目に分解する、FAXで届いたものをそのまま取り込む、手書きも読む。「精度」を前に出す出展が目立ちます。

② 現場から直接入れる——「現場」が「OCR」とほぼ同じ回数出てきます。事務所に戻ってから入力するのをやめ、スマホやアプリでその場から出す。写真を添えて残す、という形も繰り返し出てきました。

③ 読んだ先へつなぐ——読み取っただけでは終わらないので、「連携」が論点になります。基幹システムや倉庫システムへ渡すところまでを含めた提案が並んでいました。

このほか、現場の計測や車両の管理に関わる出展もありますが、本稿では扱いません。

三つに共通していたこと

三つとも、人が読んで人が打つという工程を減らします。読むのを機械に、入れるのをその場に、渡すのを自動に。

減るのは工数です。減らないのは、出てきた数字で申告する立場のほうです。

ただし、備え方のほうには制度上の効き目があります

ここが面白いところです。関税法第12条の2第3項は、電磁的記録の備付け及び保存が「関税の納税義務の適正な履行に資するものとして財務省令で定める要件」を満たしている場合、その記録に記録された事項に関する修正申告・更正については、過少申告加算税の額から百分の五の割合を乗じて計算した金額を控除すると定めています。

条件が二つ付いています。ひとつは「当該貨物の輸入の許可の日以後引き続き当該要件を満たして」備付け・保存が行われていること。途中から整えても、その貨物には遡りません。

もうひとつは但書です。「その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものがあるときは、この限りでない。」隠したり偽ったりしたものには、この控除は働きません。

つまり制度は、読み取りの精度には何も言っていません。言っているのは、記録をどう備えているかのほうです。

だから比べるところが二つに分かれます

ひとつは読み取りの性能——何を読めるか、どれくらい当たるか、間違いをどこで止めるか。これは製品の比較です。

もうひとつは読んだ結果がどう残るか——第94条の帳簿・書類として、第12条の2第3項の要件を満たす形で、輸入許可の日以後ずっと。これは運用の設計です。

前者だけを比べて入れると、工数は減るのに、制度上の効き目は何も得られないということが起こり得ます。ここは「読めます」と言われた後に、もう一段確かめるところです。具体的にどの要件がどうかかるかは取引の形態と記録の持ち方によって変わり、最終的には所管当局の判断によります。

お問い合わせは、まとめて弊社がお引き受けします

展示会に出ている企業は、引き合いを待っています。ただ、こちらから一社ずつ当たると、条件が合わない先からも営業の連絡が続きます。数が多いほどその負担は大きく、比較検討どころではなくなります。

弊社は本展の出展内容を全件整理しており、会場では各社に名刺をお渡ししています。「どの書類を、月に何枚くらい、どの言語で」をお聞かせいただければ、条件に合う先へ弊社から確認し、回答をまとめてお返しします。お客様の連絡先を、ご了解なく先方にお渡しすることはありません。

弊社がお渡しするのは情報です。特定の一社の代理店や販売権を持つ立場ではなく、同じ課題に対する複数の方式を並べてご案内します。医薬品・化粧品・食品の輸入と流通を手がけている立場から、読み取った先に残すべき記録との噛み合わせも併せてお伝えします。

参考にした一次情報

本稿のうち出展に関する記述は、主催者が公表した出展内容および各社公式サイトの公開情報に基づき、傾向を整理したものです。個別の製品名・企業名は挙げておらず、優劣の比較や評価も行っていません。公表内容は2026年8月時点のものです。法令の適用区分および必要な措置は取引の形態・品目・記録の持ち方によって異なり、個別の適用可否は所管当局の判断によります。