第17回 国際物流総合展 2026(LTT2026)出展社シリーズ 第11回

貿易のデジタル化は、たいてい「見えるようになる」という話として始まります。船がいまどこにいるか。書類がどこで止まっているか。誰が何を頼んだか。

ところが、画面に出るようになって変わるのは見え方だけではありません。残しておかなければならないものの形が変わります。

まず、関税法が命じていること

輸入を業として行う者には、帳簿と書類の義務があります。関税法第94条第1項は、申告納税方式が適用される貨物を業として輸入する者は「当該貨物の品名、数量及び価格その他の必要な事項を記載した帳簿」を備え付け、その帳簿と「当該貨物に係る取引に関して作成し又は受領した書類」を保存しなければならないと定めています。

どれだけの期間かは政令にあります。関税法施行令第83条第6項は、輸入の許可の日の翌日を起算日として——

対象保存期間
関税関係帳簿7年間
関税関係書類5年間(帳簿への記載を省略した場合は7年間)

同じ項は置く場所まで決めています——本店もしくは主たる事務所、その輸入取引に係る事務所・事業所、または輸入者の住所地。さらに、帳簿の記載事項と書類との関係が輸入許可書の番号などで明らかであるように整理することも求めています。

つまり、求められているのは「持っていること」ではなく「対応づけて、決まった場所に、決まった年数」です。

LTT2026の貿易・SCMプラットフォームの出展 — 四つの外し方

外し方人から外すもの出展の軸
① 書類を読む手を外す転記と突合せ属人化の解消
② 居場所を聞く手間を外す問い合わせと待ち可視化と遅延の検知
③ 手配の窓口を一つにする相手ごとに違う段取り見積・ブッキングの集約
④ 発注の前まで遡る勘で積む在庫調達・需要の計画

① 書類を読む手を外す——出展内容で「貿易」の次に多く出てくるのが「書類」と「属人」でした。仕入書や通関書類を人が読んで別のシステムに打ち直す工程を、OCRやEDI連携で置き換えるという提案です。「担当者が変わると止まる」という課題設定が繰り返し出てきます。

② 居場所を聞く手間を外す——本船の動静を自動で取得し、到着予定の変化を検知して知らせる。「可視化」と「遅延」が並んで出てくるのはこの型です。電話とメールで聞いて回る時間そのものを無くす、という置き方をしていました。

③ 手配の窓口を一つにする——見積、ブッキング、運賃、フォワーダーとのやりとりを一つの画面に集めます。複数の相手と別々の様式でやりとりしている状態を、同じ様式に揃えるという設定です。

④ 発注の前まで遡る——調達・購買、在庫、需要の予測まで含める型。輸送の手前にある「何をいくつ買うか」を同じ土俵に乗せる、という提案でした。拠点ごとに購買の流れが違う、という課題がよく挙がっています。

四つに共通していたこと

四つとも、人の手と記憶の中にあった情報を、システムの中へ移すかたちです。打ち直しを無くし、聞いて回るのを止め、様式を揃える。

そこまでは効率の話です。ただ、移した先で一つ変わることがあります。

紙でやりとりしていたものを電子に替えると、保存の形も替わる

電子帳簿保存法——正式には「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」——の第7条は、こう定めています。

「所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。」

読みどころは「電子取引を行った場合には」です。紙でやりとりしていた仕入書をプラットフォーム上でやりとりするようにした時点で、それは電子取引になります。すると保存すべき対象が、紙ではなく電磁的記録のほうになります。

デジタル化は義務を消しません。消えるのは「紙で保存する」という選択肢のほうです。そして保存の具体的なやり方は財務省令が定めます。

関税法の側の義務(帳簿7年・書類5年、許可書の番号で対応づけて、決まった場所に)は、それとは別に立ったままです。二つの法律が、同じ一枚の書類に別々の条件をかけます。

導入の検討が「機能の比較」で終わらないのはここです

画面がきれいか、連携できる相手が多いか——そこは比べやすいところです。比べにくいのは、入れ替えた後に「何が、どこに、何年、どう対応づけて残るのか」のほうです。

仕組みを替えると、残す対象も残し方も替わります。ここは「入れられます」と言う前に、確かめるところです。個別にどの条文がどうかかるかは、取引の形態と品目によって変わり、最終的には所管当局の判断によります。

お問い合わせは、まとめて弊社がお引き受けします

展示会に出ている企業は、引き合いを待っています。ただ、こちらから一社ずつ当たると、条件が合わない先からも営業の連絡が続きます。数が多いほどその負担は大きく、比較検討どころではなくなります。

弊社は本展の出展内容を全件整理しており、会場では各社に名刺をお渡ししています。「どの工程を、月にどれくらいの件数、どの国との取引で」をお聞かせいただければ、条件に合う先へ弊社から確認し、回答をまとめてお返しします。お客様の連絡先を、ご了解なく先方にお渡しすることはありません。

弊社がお渡しするのは情報です。特定の一社の代理店や販売権を持つ立場ではなく、同じ課題に対する複数の方式を並べてご案内します。医薬品・化粧品・食品の輸入と流通を手がけている立場から、品目ごとに増える手続きとの噛み合わせも併せてお伝えします。

参考にした一次情報

本稿のうち出展に関する記述は、主催者が公表した出展内容および各社公式サイトの公開情報に基づき、傾向を整理したものです。個別の製品名・企業名は挙げておらず、優劣の比較や評価も行っていません。公表内容は2026年8月時点のものです。法令の適用区分および必要な措置は取引の形態・品目・工程によって異なり、個別の適用可否は所管当局の判断によります。