第17回 国際物流総合展 2026(LTT2026)出展社シリーズ 第8回

フォークリフトを入れ替えるのは大きな決断です。ところがLTT2026の出展を通して読むと、訴求のほとんどが「車体はそのまま」に向いていました。替えるのは電池であり、つかむ部分であり、車体に後から足す安全装備です。

なかでも鉛電池からリチウムイオンへの置き換えが目立ちました。そこで輸入する側には、三つの別々の線が現れます。そして厄介なことに、この三つは噛み合っていません。

線は三本あって、別々に引かれている

① 電気用品安全法 — フォークリフト用は「対象外」です

リチウムイオン蓄電池は電安法の規制対象ですが、用途によって外れます。産業用機械器具用のものは対象外で、こちらは労働安全衛生法が受け持ちます。自動車用は道路運送車両法、医療機器用は医薬品医療機器等法——というように、用途ごとに別の法律へ振り分けられている構造です。

経済産業省のFAQは、「電安法対象外の産業用機械器具用と電安法対象の機械器具用に兼用される場合」という問いを立てています。つまり同じ電池が用途によって対象にも対象外にもなることを前提にしている。カタログを見て「PSEマークがないから違法では」と考えるのは、ここで取り違えます。

② 輸送 — こちらは用途に関係なく効きます

電安法の対象外であっても、運ぶ段階の規制は別に残ります。リチウムイオン電池は、ワット時定格量が20Whを超える単電池、または100Whを超える組電池が国連番号UN3480の危険物に当たります。根拠は危険物船舶運送及び貯蔵規則と、航空機による輸送基準の告示です。

フォークリフト用の電池がこの数字を下回ることはまずありません。「電安法の対象外」と「輸送は対象」は、矛盾なく同時に成り立ちます。

③ 誰が「輸入事業者」になるのか

電安法の対象になる電池を扱う場合、届出義務を負うのは誰か。FAQはこう答えています——通関手続き等を単に代行するだけの行為は輸入にならない。ただし輸入代行であっても、輸入品を国内に供給する事業を行っている場合は輸入事業者となる。

代行か供給か。商流の形が義務の所在を決めます。

四つの替え方

替え方車体に対して
① 電池を替える載せ替えるだけ。車体は残す
② 充電を替える運用時間の形が変わる
③ つかむ側を替える荷に合わせる。車体は共通のまま
④ 人を守るものを足す後付けで載せる

① 電池を替える

鉛からリチウムイオンへ、という方向が中心でした。訴求で繰り返し出てきたのは「車体はそのまま、変えるのは電池だけ」という形です。中古車体に新品のリチウムを載せる組み合わせを正面に掲げる例もありました。

ナトリウムイオンを並べる出展も複数ありました。リチウム一択ではなくなりつつある、という示し方です。

確認が要るのは「何時間、何交替で回すのか」です。鉛とリチウムの差が効いてくるのは、途中で継ぎ足し充電ができるかどうかにあります。一直で終わる現場では、差が小さくなります。

② 充電を替える

充電器と電源モジュールを単体で出す出展がありました。フォークリフト用だけでなく、AGV・AMR用も同じ棚に並んでいます。構内を動くものの電源が、同じ問題として扱われはじめているということです。

もう一方向が「保守をなくす」です。鉛電池の補水不足・均等充電不足・急速劣化をデータで捉え、交換時期の前に手を打つという提案が出ていました。電池を替えずに、電池の寿命を延ばすという考え方です。

確認が要るのは充電場所です。継ぎ足し充電は、休憩の近くに充電器を置けて初めて成立します。

③ つかむ側を替える

アタッチメントです。電動マスト、リーチフォーク、回転式のフォークポジショナー、センサー付きフォーク、パレット搬送シャトル、滑り止め——荷の形に合わせて先端だけを替える方向が揃っていました。

ここは車体を増やさずに扱える荷を増やす打ち手です。年に数回しか出ない荷のために車体を一台持つより、アタッチメントを一つ持つほうが小さい。

確認が要るのは車体側の対応可否です。油圧の系統とマストの仕様で、付くものと付かないものが分かれます。

④ 人を守るものを足す

後付けの安全装備です。人を検知して知らせるカメラ、ツメの高さを示すレーザー、ツメの下げ忘れを知らせるセンサー、後方カメラ——いずれも運転者の注意力に足すのではなく、見落としを機械が拾う構成でした。

毛色の違うものが一つありました。運転席を水冷で冷やすシートです。2025年6月から職場の熱中症対策が義務になりましたが、義務の中身は体制と手順であって設備ではありません。これは義務ではなく、望ましい側に立つ装備です。本シリーズの第5回で扱った話が、ここで車両の上に出てきたかたちです。

確認が要るのは取り付け可否と電源です。後付けは、付けられる場所と電源の取り回しで成否が決まります。

輸入する側から見ると

四つに共通していたのは、車体を増やさないという構えです。入れ替えの判断を先送りしたまま、今日の現場の不便だけを減らせます。

そのうえで、電池を自分で輸入するなら順序があります。先に決まるのは用途です。産業用機械器具用として入れるのか、他の用途にも回るのか。これが決まらないと、電安法の対象かどうかが決まりません。経済産業省のFAQが「兼用される場合」を問いとして立てているのは、現場でそこが割り切れないからです。

そして用途がどちらであっても、輸送の規制は残ります。UN3480に当たる電池は、船でも空でも危険物として扱われます。船積みの直前に気づくと間に合いません。

もう一つ、商流の形も効きます。FAQはレンタル・リースのように所有権が移転しない場合はPSEマークの表示を要しないとしています(国内で調達する電池には表示が必要)。売るのか、貸すのか。同じ物でも、置かれる義務が変わります。

お問い合わせは、まとめて弊社がお引き受けします

展示会に出ている企業は、引き合いを待っています。ただ、こちらから一社ずつ当たると、条件が合わない先からも営業の連絡が続きます。数が多いほどその負担は大きく、比較検討どころではなくなります。

弊社は本展の出展内容を全件整理しており、会場では各社に名刺をお渡ししています。「何台を、一日何時間、何交替で回しているのか」をお聞かせいただければ、条件に合う先へ弊社から確認し、回答をまとめてお返しします。お客様の連絡先を、ご了解なく先方にお渡しすることはありません。

弊社がお渡しするのは情報です。特定の一社の代理店や販売権を持つ立場ではなく、同じ現場に対する複数の替え方を並べてご案内します。医薬品・化粧品・食品の輸入と流通を手がけている立場から、用途区分と輸送の扱いがどこで分かれるかも併せてお伝えします。

参考にした一次情報

本稿は主催者が公表した出展内容および各社公式サイトの公開情報に基づき、傾向を整理したものです。個別の製品名・企業名は挙げておらず、優劣の比較や評価も行っていません。公表内容は2026年8月時点のものです。法令の適用区分は電池の仕様・用途・商流によって異なり、個別の適用可否は所管当局の判断によります。